
こんにちは!東京・葛飾で四代続く老舗八百屋「FOOD PLACE ITO伊藤商店」の野菜ソムリエ、Mrs. Yukoです。
新鮮で美味しい野菜を皆さんにお届けすることをモットーに、栄養たっぷりのレシピや食べ方をご紹介させていただきます。
夏の代表的な野菜といえば、「ゴーヤ」も忘れてはいけません!あの独特な苦味と、ゴツゴツとした緑色の見た目が印象的なゴーヤは、沖縄の代表的な野菜として全国的に人気になりました。実は栄養価が非常に高く、夏バテ防止や美容効果も期待できる優秀な野菜なんです。
今回は、新鮮なゴーヤの見分け方から下処理の方法、保存方法、栄養価、そして苦味を活かした美味しいレシピまで、ゴーヤの魅力を余すところなくお伝えします。ゴーヤの歴史についても触れていきますので、ぜひ最後までお付き合いください!
新鮮なゴーヤの見分け方
美味しいゴーヤを選ぶコツは、鮮度と適度な成熟度を見極めることです。特に以下の4つのポイントに注目してみてください。
色合い
新鮮なゴーヤは、濃い緑色をしています。黄色っぽくなっているものは熟しすぎていて、苦味が強くなっている可能性があります。逆に薄い緑色のものは未熟で、食感が硬すぎることがあります。全体的に均一な濃緑色のものを選びましょう。
表面のイボ
ゴーヤの表面にある特徴的なイボは、密度が高く、ツンツンと尖っているものが新鮮です。イボが潰れていたり、表面がしなっとしているものは時間が経っています。また、イボが大きくはっきりしているものは、苦味が比較的マイルドな傾向があります。
重さとハリ
手に持ったときに、サイズの割にしっかりとした重みを感じるものが良品です。軽いものは中身がスカスカになっている可能性があります。また、全体的にハリがあって、弾力を感じるものを選びましょう。
両端の状態
ゴーヤの両端(ヘタと花落ち部分)をチェックしてみてください。黒く変色していたり、柔らかくなっているものは鮮度が落ちています。切り口が新鮮で、みずみずしいものを選びましょう。
品種別の特徴と選び方
ゴーヤには様々な品種があり、それぞれ特徴が異なります。

沖縄在来種
- あばしゴーヤ:沖縄の代表的な品種で、苦味が強く、風味豊か
- 島サンゴ:比較的苦味が少なく、肉厚で食べやすい
- 選び方:イボが小さく、濃い緑色のもの

本土向け改良品種
- 純沖縄本島:苦味が穏やかで、初心者にも食べやすい
- 白いゴーヤ:苦味が少なく、サラダにも使える
- 選び方:イボが大きく、色が薄めのもの

太めの品種
- 太レイシ:肉厚で食べ応えがあり、炒め物に最適
- 選び方:全体的に太く、ずっしりと重いもの

長いタイプ
- 長レイシ:細長い形で、苦味が比較的マイルド
- 選び方:長さが均一で、曲がっていないもの
ゴーヤの保存方法
ゴーヤは比較的日持ちする野菜ですが、正しい保存方法で美味しさを保ちましょう。
丸ごと保存
新聞紙に包んで冷蔵庫の野菜室で保存します。1週間程度は新鮮さを保てます。ビニール袋に入れる場合は、湿気がこもらないよう少し口を開けておきましょう。
カットした場合
カットしたゴーヤは、種とワタを取り除いてからラップで包み、冷蔵庫で保存します。2〜3日以内に使い切りましょう。
冷凍保存
下処理(塩もみ)したゴーヤは、冷凍保存袋に入れて冷凍できます。約1ヶ月保存可能で、炒め物や煮物に直接使えます。
乾燥保存
薄切りにしたゴーヤを天日干しして乾燥させると、長期保存が可能です。お茶として楽しむこともできます。
ゴーヤの栄養と健康効果
ゴーヤは「天然の栄養ドリンク」と呼ばれるほど、豊富な栄養素を含んでいます。
成分名 | 値 | 単位 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
廃棄率 | 15 | % | ||||
エネルギー | 15 | kcal | ||||
63 | kJ | |||||
水分 | 94.4 | g | ||||
た ん ぱ く 質 | ||||||
アミノ酸組成によるたんぱく質 | 0.7 | g | ||||
たんぱく質 | 1.0 | g | ||||
脂 質 | ||||||
脂肪酸のトリアシルグリセロール当量 | (0.1) | g | ||||
コレステロール | (0) | mg | ||||
脂質 | 0.1 | g | ||||
炭 水 化 物 | 利 用 可 能 炭 水 化 物 | 利用可能炭水化物(単糖当量) | 0.3 | g | ||
利用可能炭水化物(質量計) | 0.3 | g | ||||
差引き法による利用可能炭水化物 | 1.6 | g | ||||
食物繊維総量 | 2.6 | g | ||||
糖アルコール | – | g | ||||
炭水化物 | 3.9 | g | ||||
有機酸 | Tr | g | ||||
灰分 | 0.6 | g | ||||
無 機 質 | ナトリウム | 1 | mg | |||
カリウム | 260 | mg | ||||
カルシウム | 14 | mg | ||||
マグネシウム | 14 | mg | ||||
リン | 31 | mg | ||||
鉄 | 0.4 | mg | ||||
亜鉛 | 0.2 | mg | ||||
銅 | 0.05 | mg | ||||
マンガン | 0.10 | mg | ||||
ヨウ素 | 1 | μg | ||||
セレン | 0 | μg | ||||
クロム | 1 | μg | ||||
モリブデン | 7 | μg | ||||
ビ タ ミ ン | ビ タ ミ ン A | レチノール | (0) | μg | ||
α−カロテン | 93 | μg | ||||
β−カロテン | 160 | μg | ||||
β−クリプトキサンチン | 3 | μg | ||||
β−カロテン当量 | 210 | μg | ||||
レチノール活性当量 | 17 | μg | ||||
ビタミンD | (0) | μg | ||||
ビ タ ミ ン E | α−トコフェロール | 0.8 | mg | |||
β−トコフェロール | 0.1 | mg | ||||
γ−トコフェロール | 0.1 | mg | ||||
δ−トコフェロール | 0 | mg | ||||
ビタミンK | 41 | μg | ||||
ビタミンB1 | 0.05 | mg | ||||
ビタミンB2 | 0.07 | mg | ||||
ナイアシン | 0.3 | mg | ||||
ナイアシン当量 | (0.5) | mg | ||||
ビタミンB6 | 0.06 | mg | ||||
ビタミンB12 | (0) | μg | ||||
葉酸 | 72 | μg | ||||
パントテン酸 | 0.37 | mg | ||||
ビオチン | 0.5 | μg | ||||
ビタミンC | 76 | mg | ||||
アルコール | – | g | ||||
食塩相当量 | 0 | g |
ビタミンC
100gあたり76mgのビタミンCを含み、レモンの約2〜3倍の量です。しかも、ゴーヤのビタミンCは加熱しても壊れにくいという特徴があります。美肌効果や免疫力向上に効果的です。
苦味成分(モモルデシン)
ゴーヤの苦味の主成分であるモモルデシンは、胃液の分泌を促進し、食欲増進効果があります。夏バテ防止に効果的です。
食物繊維
豊富な食物繊維が腸内環境を整え、便秘解消に効果があります。また、血糖値の急上昇を抑える働きもあります。
カリウム
余分なナトリウムを排出し、高血圧予防やむくみ解消に効果があります。
葉酸
造血作用があり、貧血予防に効果的です。妊娠中の女性には特に重要な栄養素です。
β-カロテン
体内でビタミンAに変わり、目の健康維持や皮膚の健康に効果があります。
共役リノール酸
脂肪燃焼を促進し、ダイエット効果が期待できます。
ゴーヤの歴史
ゴーヤの歴史は古く、興味深い文化的背景があります。
- 原産地と伝来
- ゴーヤの原産地は東南アジアやインドとされ、14〜15世紀に沖縄に伝来しました。当時から沖縄の人々に愛され、「ゴーヤー」という沖縄方言で呼ばれていました。
- 沖縄での発展
- 沖縄では古くから薬草として利用され、「苦い物は体に良い」という考えから、日常的に食べられていました。沖縄の長寿の秘訣の一つとも言われています。
- 本土への普及
- 本土では長い間あまり知られていませんでしたが、1990年代後半からの沖縄ブームと健康志向の高まりにより、全国的に普及しました。
- 現代の栽培
- 現在では沖縄だけでなく、九州、四国、本州の温暖な地域でも栽培されています。品種改良も進み、苦味を抑えた品種も開発されています。
ゴーヤを使ったおすすめレシピ
1. 定番のゴーヤチャンプルー

材料(2人分)
- ゴーヤ:1本(200g)
- 木綿豆腐:1丁
- 豚バラ肉:100g
- 卵:2個
- もやし:100g
- 塩:小さじ1(下処理用)
- 醤油:大さじ1
- 酒:大さじ1
- 塩・胡椒:少々
- サラダ油:大さじ2
作り方
- ゴーヤは縦半分に切り、種とワタを取り除いて薄切りにし、塩でもんで10分置きます。
- 豆腐は水切りして大きめに切り、豚肉は一口大に切ります。
- フライパンに油を熱し、豆腐を焼いて取り出します。
- 同じフライパンで豚肉を炒め、水気を切ったゴーヤともやしを加えます。
- 調味料を加えて炒め合わせ、豆腐を戻し入れます。
- 溶き卵を回し入れ、軽く炒めて完成です。
苦味が気になる方は、下処理の塩もみ時間を長くしたり、砂糖を少量加えても良いでしょう。
2. ゴーヤとツナのマヨネーズサラダ

材料(2人分)
- ゴーヤ:1/2本(100g)
- ツナ缶:1缶
- コーン:50g
- 玉ねぎ:1/4個
- 塩:小さじ1/2(下処理用)
- マヨネーズ:大さじ3
- レモン汁:小さじ1
- 塩・胡椒:少々
作り方
- ゴーヤは薄切りにして塩でもみ、10分後に水で洗い流して水気を絞ります。
- 玉ねぎは薄切りにして水にさらし、水気を切ります。
- ボウルにゴーヤ、ツナ、コーン、玉ねぎを入れます。
- マヨネーズ、レモン汁、塩、胡椒を加えて混ぜ合わせて完成です。
苦味が抑えられて、ゴーヤ初心者にも食べやすいサラダです。
3. ゴーヤの肉詰め

材料(2人分)
- ゴーヤ:1本
- 豚ひき肉:150g
- 玉ねぎ:1/4個
- 生姜:1片
- 卵:1/2個
- パン粉:大さじ2
- 醤油:小さじ1
- 塩・胡椒:少々
- 小麦粉:適量
- サラダ油:大さじ2
作り方
- ゴーヤは輪切りにして種とワタを取り除き、軽く塩をして10分置きます。
- 玉ねぎと生姜はみじん切りにし、ひき肉と混ぜ合わせて肉だねを作ります。
- ゴーヤの水気を拭き取り、小麦粉をまぶして肉だねを詰めます。
- フライパンに油を熱し、両面を焼いて中まで火を通します。
- 蓋をして蒸し焼きにし、火が通ったら完成です。
見た目も美しく、おもてなし料理にもぴったりです。
番外編:ゴーヤの苦味を和らげる方法
基本の塩もみ
薄切りにしたゴーヤに塩をまぶして10〜15分置き、水で洗い流します。これだけでかなり苦味が和らぎます。
砂糖を少量加える
塩もみの際に砂糖を少量加えると、さらに苦味が和らぎます。
氷水にさらす
塩もみ後、氷水に5分程度さらすと、苦味と青臭さが取れます。
油で炒める
油で炒めることで、苦味成分が中和され、まろやかな味になります。
伊藤商店でゴーヤを手に入れて、夏の食卓を彩ろう!
ゴーヤは夏の暑さに負けない体を作る、栄養満点の野菜です。独特の苦味も、慣れてしまえば病みつきになる美味しさ。下処理のコツを覚えて、ゴーヤの豊富な栄養と美味しさを存分に楽しんでください。
伊藤商店では、毎日新鮮で美味しいゴーヤを取り揃えています。沖縄直送のものから、本土産の食べやすい品種まで、お客様の好みに合わせて最適なゴーヤをご提案させていただきます。野菜ソムリエの私が自信を持って選んだゴーヤばかりですので、ぜひお店でお手に取ってみてください!
暑い夏こそ、ゴーヤの栄養で健康的に過ごしましょう。苦味を活かした料理で、皆様の食卓がより豊かになることを願っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。また次回の夏野菜レポートもお楽しみに!