初夏の代表的な果物といえば、「びわ」も忘れてはいけません!美しいオレンジ色と上品な甘さ、そしてあの独特なまろやかな食感が魅力的なびわは、古くから日本人に愛され、「初夏の宝石」とも呼ばれています。実は美味しいだけでなく、β-カロテンやビタミンAが豊富で、美肌効果や免疫力向上も期待できる優秀な果物なんです。
今回は、新鮮で美味しいびわの見分け方から下処理の方法、保存方法、栄養価、そして上品な甘みを活かした美味しいレシピまで、びわの魅力を余すところなくお伝えします。びわの歴史や薬効についても触れていきますので、ぜひ最後までお付き合いください!
新鮮で美味しいびわの見分け方
美味しいびわを選ぶコツは、完熟度と鮮度を見極めることです。特に以下の4つのポイントに注目してみてください。
色合いと艶
新鮮で完熟したびわは、全体的に美しいオレンジ色をしています。薄いものや緑がかったものは未熟で、酸味が強く甘みが不足しています。逆に濃すぎるオレンジ色や茶色っぽいものは熟しすぎている可能性があります。表面に自然な艶があり、均一な色合いのものを選びましょう。
産毛(うぶげ)の状態
びわの表面には細かい産毛が生えており、これが新鮮さの指標となります。産毛がしっかりと残っていて、きれいに生え揃っているものが新鮮です。産毛が取れていたり、まばらになっているものは時間が経っている証拠です。
形とハリ
ふっくらと丸みを帯びた楕円形で、皮にハリがあるものを選びましょう。しわが寄っていたり、へこみがあるものは鮮度が落ちています。また、軸の付け根がしっかりしていて、実全体に弾力を感じるものが良品です。
香りと重み
良質なびわは、鼻を近づけると甘く上品な香りがします。手に持ったときに、サイズの割にしっかりとした重みを感じるものが果肉がぎっしり詰まっていて美味しいです。軽すぎるものは水分が少なく、パサパサしている可能性があります。
品種別の特徴と選び方
びわには様々な品種があり、それぞれ異なる特徴を持っています。
茂木びわ(もぎびわ)

- 特徴:長崎県原産の代表品種で、上品な甘さと程よい酸味が特徴
- 外観:中程度のサイズで、美しいオレンジ色
- 選び方:色が均一で、産毛がきれいに残っているもの
田中びわ(たなかびわ)

- 特徴:大粒で果肉が厚く、甘みが強い高級品種
- 外観:大きめで、濃いオレンジ色
- 選び方:大きくて重みがあり、色の濃いもの
房州びわ(ぼうしゅうびわ)

- 特徴:千葉県館山市周辺の特産品で、甘みと酸味のバランスが良い
- 外観:中〜大サイズで、きれいな橙色
- 選び方:色づきが良く、形の整ったもの
大房(おおぶさ)

- 特徴:房州びわの改良品種で、大粒で糖度が高い
- 外観:非常に大きく、濃いオレンジ色
- 選び方:特に大きくて重いもの、色が濃いもの
びわの保存方法
びわは非常にデリケートな果物で、適切な保存が重要です。
常温保存
完熟前のびわは、風通しの良い涼しい場所で常温保存できます。直射日光を避け、1〜2日で色づくのを待ちましょう。ただし、完熟したものは傷みやすいので、すぐに食べることをおすすめします。
冷蔵保存
完熟したびわは、一つずつペーパータオルで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫で保存します。野菜室で2〜3日程度保存できますが、風味が落ちるため早めに消費しましょう。冷やしすぎると甘みが感じにくくなるので注意が必要です。
冷凍保存
皮を剥いて種を取り除いたびわは、冷凍保存袋に入れて冷凍できます。約1ヶ月保存可能で、シャーベット状にして楽しんだり、ジャムやコンポート作りに使用できます。
加工保存
ジャムやシロップ漬けにすることで長期保存が可能です。びわの上品な甘さを活かした保存方法としておすすめです。
びわの栄養と健康効果
びわは「薬王樹」とも呼ばれ、豊富な栄養素と健康効果を持っています。
成分名 | 値 | 単位 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
廃棄率 | 30 | % | ||||
エネルギー | 41 | kcal | ||||
174 | kJ | |||||
水分 | 88.6 | g | ||||
た ん ぱ く 質 | ||||||
アミノ酸組成によるたんぱく質 | (0.2) | g | ||||
たんぱく質 | 0.3 | g | ||||
脂 質 | ||||||
脂肪酸のトリアシルグリセロール当量 | (0.1) | g | ||||
コレステロール | (0) | mg | ||||
脂質 | 0.1 | g | ||||
炭 水 化 物 | 利 用 可 能 炭 水 化 物 | 利用可能炭水化物(単糖当量) | (5.9) | g | ||
利用可能炭水化物(質量計) | (5.9) | g | ||||
差引き法による利用可能炭水化物 | 9.1 | g | ||||
食物繊維総量 | 1.6 | g | ||||
糖アルコール | – | g | ||||
炭水化物 | 10.6 | g | ||||
有機酸 | – | g | ||||
灰分 | 0.4 | g | ||||
無 機 質 | ナトリウム | 1 | mg | |||
カリウム | 160 | mg | ||||
カルシウム | 13 | mg | ||||
マグネシウム | 14 | mg | ||||
リン | 9 | mg | ||||
鉄 | 0.1 | mg | ||||
亜鉛 | 0.2 | mg | ||||
銅 | 0.04 | mg | ||||
マンガン | 0.27 | mg | ||||
ヨウ素 | 0 | μg | ||||
セレン | 0 | μg | ||||
クロム | 0 | μg | ||||
モリブデン | 0 | μg | ||||
ビ タ ミ ン | ビ タ ミ ン A | レチノール | (0) | μg | ||
α−カロテン | 0 | μg | ||||
β−カロテン | 510 | μg | ||||
β−クリプトキサンチン | 600 | μg | ||||
β−カロテン当量 | 810 | μg | ||||
レチノール活性当量 | 68 | μg | ||||
ビタミンD | (0) | μg | ||||
ビ タ ミ ン E | α−トコフェロール | 0.1 | mg | |||
β−トコフェロール | 0.1 | mg | ||||
γ−トコフェロール | 0 | mg | ||||
δ−トコフェロール | 0 | mg | ||||
ビタミンK | – | μg | ||||
ビタミンB1 | 0.02 | mg | ||||
ビタミンB2 | 0.03 | mg | ||||
ナイアシン | 0.2 | mg | ||||
ナイアシン当量 | (0.3) | mg | ||||
ビタミンB6 | 0.06 | mg | ||||
ビタミンB12 | (0) | μg | ||||
葉酸 | 9 | μg | ||||
パントテン酸 | 0.22 | mg | ||||
ビオチン | 0.1 | μg | ||||
ビタミンC | 5 | mg | ||||
アルコール | – | g | ||||
食塩相当量 | 0 | g |
β-カロテン
びわ100gあたり810μgのβ-カロテンを含み、体内でビタミンAに変換されます。視力保護や粘膜の健康維持、免疫力向上に効果的です。また、強い抗酸化作用により、老化防止や生活習慣病の予防にも役立ちます。
ビタミンA
目の健康に不可欠な栄養素で、夜盲症の予防や眼精疲労の改善に効果があります。また、皮膚や粘膜の健康を維持し、美肌効果も期待できます。
ビタミンC
100gあたり5mgのビタミンCを含み、コラーゲンの生成を助けて美肌効果を発揮します。また、免疫力の向上や疲労回復にも効果があります。
カリウム
余分なナトリウムを排出し、高血圧予防やむくみ解消に効果があります。また、筋肉の正常な働きをサポートし、心臓の健康維持にも役立ちます。
食物繊維
腸内環境を整え、便秘解消に効果があります。また、血糖値の急上昇を抑え、コレステロール値の改善にも寄与します。
アミグダリン
びわの葉に多く含まれる成分で、古くから咳止めや痰切りの民間薬として利用されてきました。ただし、適量の摂取が重要です。
クロロゲン酸
抗酸化作用があり、動脈硬化の予防や血糖値の安定化に効果があるとされています。
びわの歴史
びわの歴史は古く、薬用植物としても重要な役割を果たしてきました。
- 原産地と伝来
- びわの原産地は中国南部で、奈良時代には既に日本に伝来していたとされています。当初は薬用植物として導入され、特に葉が薬効成分を持つことから「薬王樹」と呼ばれていました。
- 平安時代の記録
- 「本草和名」(918年)には既にびわについての記載があり、古くから日本人に知られていたことがわかります。この時代から果実も食用として利用されていました。
- 江戸時代の発展
- 江戸時代になると、各地でびわの栽培が本格化しました。特に長崎県の茂木地方では品種改良が進み、現在の「茂木びわ」の基礎が築かれました。
- 明治時代の普及
- 明治時代には千葉県房総半島でも本格的な栽培が始まり、「房州びわ」として有名になりました。この時期に栽培技術も向上し、品質の良いびわが生産されるようになりました。
- 現代の栽培
- 現在では長崎県、千葉県を中心に全国で栽培されており、袋かけ栽培などの技術により、より美しく美味しいびわが生産されています。近年では機能性成分にも注目が集まっています。
びわを使ったおすすめレシピ
1. びわのコンポート

材料(4人分)
- びわ:10個
- 砂糖:100g
- 水:200ml
- レモン汁:大さじ1
- 白ワイン:大さじ2(お好みで)
作り方
- びわは皮を剥き、半分に切って種を取り除きます。
- 鍋に水、砂糖、レモン汁を入れて中火にかけます。
- 砂糖が溶けたらびわを加え、弱火で10〜15分煮ます。
- 白ワインを加え、さらに5分煮込みます。
- 冷蔵庫で冷やして完成です。
上品な甘さのコンポートは、デザートとしてそのままでも、ヨーグルトやアイスクリームと合わせても美味しいです。
2. びわのジャム

材料(作りやすい分量)
- びわ:500g(皮・種除く)
- 砂糖:200g
- レモン汁:大さじ2
- ペクチン:小さじ1(お好みで)
作り方
- びわは皮を剥いて種を取り、適当な大きさに切ります。
- 鍋にびわと砂糖を入れ、30分ほど置いて水分を出します。
- 中火にかけて煮立ったら、アクを取りながら弱火で20分煮ます。
- レモン汁を加え、さらに5〜10分煮詰めます。
- とろみが付いたら火を止め、熱いうちに瓶に詰めて完成です。
手作りのびわジャムは、パンやヨーグルトにぴったりです。冷蔵庫で約1ヶ月保存できます。
番外編:びわの上手な食べ方とむき方
基本のむき方
びわの皮は薄くてむきやすいです。へたの方から皮をそっと剥き、種の周りは丁寧に果肉を取り除きます。
冷やし方のコツ
食べる30分〜1時間前に冷蔵庫で冷やすと、甘みが際立って美味しくなります。冷やしすぎると甘みを感じにくくなるので注意しましょう。
変色防止
切ったびわは変色しやすいので、レモン汁を軽くかけると変色を防げます。
種の取り方
半分に切ってから種を取り除くと、果肉を無駄なく使えます。種は大きいので、果肉を傷つけないよう注意して取り除きましょう。
びわ茶の作り方
びわの葉を乾燥させて煎じることで、健康茶として楽しめます。古くから咳止めや健胃作用があるとされています。
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びわは初夏の短い期間だけ楽しめる、日本の代表的な果物です。その上品な甘さと美しいオレンジ色、そして豊富な栄養で、初夏の食卓を特別なものにしてくれます。デリケートな果物だからこそ、新鮮で良質なものを選ぶことが大切です。
伊藤商店では、新鮮で美味しいびわを取り揃えています。野菜ソムリエの私が自信を持って選んだびわばかりですので、ぜひお店でお手に取ってみてください!
短い旬の期間だからこそ、びわの恵みで初夏の味覚を存分に楽しみましょう。上品な甘さと豊富な栄養で、皆様の食卓がより豊かで健康的になることを願っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。また次回の旬の果物レポートもお楽しみに!