
こんにちは!東京・葛飾で四代続く老舗八百屋「FOOD PLACE ITO伊藤商店」の野菜ソムリエ、Mrs. Yukoです。
新鮮で美味しい野菜を皆さんにお届けすることをモットーに、栄養たっぷりのレシピや食べ方をご紹介させていただきます。
夏の代表的な果物といえば、「桃」も忘れてはいけません!あの甘い香りと、ふわりとした産毛に包まれたピンク色の美しい姿が印象的な桃は、日本の夏を代表する果物として全国的に愛されています。実は栄養価も高く、美容効果や疲労回復にも効果的な優秀な果物なんです。
今回は、美味しい桃の見分け方から食べ頃の判断方法、保存方法、栄養価、そして甘さを活かした美味しいレシピまで、桃の魅力を余すところなくお伝えします。桃の歴史についても触れていきますので、ぜひ最後までお付き合いください!
美味しい桃の見分け方
美味しい桃を選ぶコツは、品種に応じた特徴と熟度を見極めることです。特に以下の4つのポイントに注目してみてください。
色合い
良い桃は全体的に薄いピンク色から濃いピンク色に色づいています。緑がかった部分が少なく、均一に色づいているものが理想的です。ただし、品種によっては白桃のように薄い色合いのものもあるので、品種の特徴を理解することが大切です。色が鮮やかで艶があるものを選びましょう。
香り
桃のお尻の部分(果頂部)を嗅いでみてください。甘い芳醇な香りがするものが食べ頃です。全く香りがしないものは未熟で、逆に発酵したような匂いがするものは熟しすぎています。ふわりと立ち上る上品な甘い香りのものを選びましょう。
触感とハリ
桃は非常にデリケートな果物なので、優しく触れてください。適度な弾力があり、少し柔らかめに感じるものが食べ頃です。硬すぎるものは未熟で、ブヨブヨと柔らかすぎるものは熟しすぎています。全体的に均一な柔らかさのものを選びましょう。
形と産毛
形が整っていて、左右対称に近いものが良品です。また、桃特有の産毛がしっかりと残っているものは新鮮な証拠です。産毛が取れてツルツルになっているものは、流通過程で時間が経っている可能性があります。
品種別の特徴と選び方
桃には様々な品種があり、それぞれ特徴が異なります。
白桃系

- 白桃:岡山県の代表品種で、上品な甘みと滑らかな食感
- 清水白桃:最高級品種の一つ、極上の甘みと香り
- 選び方:薄いピンク色で、香りが強く、適度な柔らかさのもの
黄桃系

- 黄金桃:果肉が黄色く、しっかりとした食感と濃厚な甘み
- ゴールデンピーチ:缶詰でもおなじみ、加工用にも適している
- 選び方:全体的に黄色がかった色合いで、重みを感じるもの
早生品種

- 日川白鳳:6月下旬から出回る早生品種、さっぱりとした甘み
- ちよひめ:小ぶりで食べやすく、初夏の味覚
- 選び方:サイズは小さめでも、色づきが良く香りがするもの
晩生品種

- 川中島白桃:8月下旬から9月の大玉品種、濃厚な甘み
- さくら白桃:9月に出回る晩生品種、長期保存が可能
- 選び方:大きめサイズで、重量感があり、色づきの良いもの
桃の保存方法
桃は追熟する果物で、非常にデリケートなため、適切な保存が重要です。
未熟な場合
常温で追熟させます。直射日光を避け、風通しの良い場所で、新聞紙に包んで保管しましょう。2〜4日程度で食べ頃になります。毎日香りをチェックして、甘い香りがしてきたら食べ頃です。
食べ頃の場合
食べる1〜2時間前に冷蔵庫で冷やしてください。あまり長時間冷やすと甘みが感じにくくなるので注意しましょう。ビニール袋に入れて野菜室で保存すると良いでしょう。
デリケートな取り扱い
桃は圧迫に弱いので、他の果物と重ならないよう注意してください。一つずつ新聞紙やティッシュペーパーで包むと、傷みを防げます。
冷凍保存
皮を剥いて一口大にカットし、レモン汁をかけてから冷凍保存袋に入れれば、約1ヶ月保存可能です。シャーベット感覚で楽しめ、スムージーやコンポートにも使えます。
桃の栄養と健康効果
桃は「不老長寿の果実」と呼ばれるほど、美容と健康に良い栄養素を豊富に含んでいます。
成分名 | 値 | 単位 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
廃棄率 | 15 | % | ||||
エネルギー | 38 | kcal | ||||
161 | kJ | |||||
水分 | 88.7 | g | ||||
た ん ぱ く 質 | ||||||
アミノ酸組成によるたんぱく質 | 0.4 | g | ||||
たんぱく質 | 0.6 | g | ||||
脂 質 | ||||||
脂肪酸のトリアシルグリセロール当量 | (0.1) | g | ||||
コレステロール | 0 | mg | ||||
脂質 | 0.1 | g | ||||
炭 水 化 物 | 利 用 可 能 炭 水 化 物 | 利用可能炭水化物(単糖当量) | 8.4 | g | ||
利用可能炭水化物(質量計) | 8.0 | g | ||||
差引き法による利用可能炭水化物 | 8.4 | g | ||||
食物繊維総量 | 1.3 | g | ||||
糖アルコール | 0.3 | g | ||||
炭水化物 | 10.2 | g | ||||
有機酸 | 0.4 | g | ||||
灰分 | 0.4 | g | ||||
無 機 質 | ナトリウム | 1 | mg | |||
カリウム | 180 | mg | ||||
カルシウム | 4 | mg | ||||
マグネシウム | 7 | mg | ||||
リン | 18 | mg | ||||
鉄 | 0.1 | mg | ||||
亜鉛 | 0.1 | mg | ||||
銅 | 0.05 | mg | ||||
マンガン | 0.04 | mg | ||||
ヨウ素 | 0 | μg | ||||
セレン | 0 | μg | ||||
クロム | 0 | μg | ||||
モリブデン | 1 | μg | ||||
ビ タ ミ ン | ビ タ ミ ン A | レチノール | (0) | μg | ||
α−カロテン | 0 | μg | ||||
β−カロテン | 0 | μg | ||||
β−クリプトキサンチン | 9 | μg | ||||
β−カロテン当量 | 5 | μg | ||||
レチノール活性当量 | Tr | μg | ||||
ビタミンD | (0) | μg | ||||
ビ タ ミ ン E | α−トコフェロール | 0.7 | mg | |||
β−トコフェロール | 0 | mg | ||||
γ−トコフェロール | 0 | mg | ||||
δ−トコフェロール | 0 | mg | ||||
ビタミンK | (1) | μg | ||||
ビタミンB1 | 0.01 | mg | ||||
ビタミンB2 | 0.01 | mg | ||||
ナイアシン | 0.6 | mg | ||||
ナイアシン当量 | 0.6 | mg | ||||
ビタミンB6 | 0.02 | mg | ||||
ビタミンB12 | (0) | μg | ||||
葉酸 | 5 | μg | ||||
パントテン酸 | 0.13 | mg | ||||
ビオチン | 0.3 | μg | ||||
ビタミンC | 8 | mg | ||||
アルコール | – | g | ||||
食塩相当量 | 0 | g |
ペクチン
水溶性食物繊維の一種で、腸内環境を整え、便秘解消に効果があります。また、コレステロール値を下げる働きもあり、生活習慣病予防に効果的です。血糖値の急上昇も抑えてくれます。
カリウム
100gあたり180mgのカリウムを含み、余分なナトリウムを排出してくれます。高血圧予防やむくみ解消に効果があります。夏の水分補給と電解質バランス調整にも役立ちます。
ビタミンC
100gあたり10mgのビタミンCを含み、美容と免疫力向上に効果があります。コラーゲン生成を助け、肌のハリと潤いを保ちます。抗酸化作用で老化防止にも効果的です。
βカロテン
体内でビタミンAに変わり、目の健康維持や皮膚・粘膜の健康に効果があります。抗酸化作用により、細胞の老化を防ぎます。
ナイアシン(ビタミンB3)
新陳代謝を促進し、疲労回復効果があります。また、神経系の働きを正常に保ち、精神的な安定にも寄与します。
クエン酸・リンゴ酸
疲労物質である乳酸を分解し、疲労回復を促進します。夏バテ防止や運動後の疲労回復に効果的です。
水分
約88%が水分で、夏の水分補給に最適です。天然の糖分も含まれているため、熱中症予防にも効果があります。
桃の歴史
桃の歴史は非常に古く、興味深い文化的背景があります。
- 原産地と古代の歴史
- 桃の原産地は中国とされ、3000年以上前から栽培されていました。古代中国では「仙果」として珍重され、不老長寿の象徴とされていました。桃太郎の昔話でも、桃は特別な力を持つ果実として描かれています。
- 日本への伝来
- 日本へは弥生時代に中国から伝来したとされています。奈良時代には既に栽培が行われており、平安時代の文学作品にも桃が登場しています。古くから邪気を払う力があるとされ、桃の節句の由来にもなっています。
- 品種改良の発展
- 江戸時代から本格的な品種改良が始まり、明治時代には現在の主要品種の基となる品種が開発されました。特に岡山県では白桃の品種改良が進み、世界最高品質の桃産地となりました。
- 現代の桃栽培
- 戦後の技術革新により、袋かけ栽培や温度管理技術が確立され、より美味しい桃が安定して生産できるようになりました。現在では全国各地で様々な品種が栽培されています。
桃を使ったおすすめレシピ
1. 基本の桃のコンポート

材料(4人分)
- 桃:4個
- 砂糖:100g
- 水:400ml
- レモン汁:大さじ2
- バニラエッセンス:数滴
作り方
- 桃は熱湯に30秒つけて冷水にとり、皮を剥きます。
- 鍋に水と砂糖を入れて沸騰させ、シロップを作ります。
- 桃とレモン汁を加え、弱火で10〜15分煮ます。
- 火を止めてバニラエッセンスを加えて完成です。
- 冷蔵庫で冷やしてからお召し上がりください。
上品で優しい甘さのデザートで、そのままでもアイスクリームと合わせても美味しくいただけます。
2. 桃とモッツァレラのカプレーゼ

材料(2人分)
- 桃:2個
- モッツァレラチーズ:100g
- 生ハム:4枚
- バジル:適量
- オリーブオイル:大さじ2
- バルサミコ酢:大さじ1
- 塩・黒胡椒:少々
作り方
- 桃は皮を剥き、くし切りにします。
- モッツァレラチーズは厚めにスライスします。
- 皿に桃、モッツァレラ、生ハムを美しく盛りつけます。
- バジルを散らし、オリーブオイルとバルサミコ酢をかけます。
- 塩と黒胡椒で味を調えて完成です。
甘い桃と塩気のあるチーズ、生ハムの組み合わせが絶妙な前菜です。
3. 桃のスムージーボウル

材料(2人分)
- 冷凍桃:200g
- バナナ:1本
- ヨーグルト:100ml
- ハチミツ:大さじ2
- グラノーラ:適量
- ブルーベリー:適量
- ミント:適量
作り方
- 冷凍桃、バナナ、ヨーグルト、ハチミツをミキサーにかけます。
- 滑らかになったらボウルに注ぎます。
- グラノーラ、ブルーベリー、ミントをトッピングします。
- お好みでスライスした生の桃も加えて完成です。
栄養豊富で見た目も美しい、健康的な朝食やおやつにぴったりです。
番外編:桃をより美味しく食べる方法
正しい皮の剥き方
桃に十字の切れ目を入れ、熱湯に30秒つけてから冷水にとると、皮がするりと剥けます。産毛が気になる場合は、流水で優しく洗い流しましょう。
食べ頃の見極め
香りが最も重要な指標です。お尻の部分から甘い香りがして、軽く押すと少し弾力があるものが食べ頃です。
変色防止
カットした桃は空気に触れると茶色く変色します。レモン汁をかけることで変色を防げます。
冷やし方のコツ
冷やしすぎると甘みが感じにくくなるので、食べる1〜2時間前に冷蔵庫に入れる程度が最適です。
伊藤商店で桃を手に入れて、夏の食卓を豊かにしよう!
桃は夏の疲れを癒す、栄養満点の果物です。その優雅な甘さと香りは、日常に特別な喜びをもたらしてくれます。選び方と保存方法のコツを覚えて、桃の豊富な栄養と美味しさを存分に楽しんでください。
伊藤商店では、新鮮で美味しい桃を取り揃えています。野菜ソムリエの私が自信を持って選んだ桃ばかりですので、ぜひお店でお手に取ってみてください!
暑い夏こそ、桃の豊富な水分と栄養で健康的に過ごしましょう。上品な甘さで、皆様の食卓がより豊かになることを願っています。
最後までお読いただきありがとうございました。また次回の夏の果物レポートもお楽しみに!