梅
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【伊藤商店の野菜ソムリエMrs.Yukoレポート】夏の代表的な果物②梅

こんにちは!東京・葛飾で四代続く老舗八百屋「FOOD PLACE ITO伊藤商店」の野菜ソムリエ、Mrs. Yukoです。
新鮮で美味しい野菜を皆さんにお届けすることをモットーに、栄養たっぷりのレシピや食べ方をご紹介させていただきます。

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初夏の代表的な果物といえば、「梅」も忘れてはいけません!青々とした美しい緑色と、爽やかな香りが魅力的な梅は、古くから日本人の生活に深く根ざし、梅干しや梅酒など様々な形で親しまれています。実は美味しいだけでなく、疲労回復効果や整腸作用、防腐効果も期待できる優秀な果物なんです。

今回は、良質な梅の見分け方から下処理の方法、保存方法、栄養価、そして梅の酸味を活かした美味しいレシピまで、梅の魅力を余すところなくお伝えします。梅の歴史や文化的背景についても触れていきますので、ぜひ最後までお付き合いください!

新鮮で良質な梅の見分け方

美味しい梅を選ぶコツは、用途に合わせた熟度と品質を見極めることです。特に以下の4つのポイントに注目してみてください。

色合いと熟度

梅干し用には青梅を、梅酒用にはやや黄色みを帯びた梅を選びます。青梅は全体的に均一な青緑色で、黄ばみや斑点がないものが理想的です。梅酒用は薄黄色に色づいたものが香りが良く、エキスがよく出ます。部分的に茶色く変色しているものは避けましょう。

表面の状態

梅の表面は滑らかで艶があり、傷や打ち身がないものを選びましょう。皮にハリがあり、指で軽く押したときに適度な弾力を感じるものが新鮮です。しわが寄っていたり、柔らかすぎるものは熟しすぎています。

香り

良質な梅は、自然な爽やかな香りがします。鼻を近づけてみて、フルーティーで清々しい香りがするものを選びましょう。発酵したような酸っぱい匂いや、異臭がするものは避けてください。

サイズと重み

サイズが均一で、手に持ったときにずっしりとした重みを感じるものが良品です。軽すぎるものは果肉が少なく、エキス分が不足している可能性があります。また、形が整っていて、ふっくらと丸みを帯びているものを選びましょう。

品種別の特徴と選び方

梅には様々な品種があり、それぞれ特徴と最適な用途が異なります。

南高梅(なんこううめ)

  • 特徴:「梅の王様」と呼ばれる和歌山県の代表品種で、果肉が厚く柔らか
  • 用途:梅干し作りに最適、梅酒にも使用可能
  • 選び方:大粒で形が整い、傷がないもの

白加賀(しらかが)

  • 特徴:関東地方で多く栽培される品種で、果肉がしっかりしている
  • 用途:梅酒や梅シロップ作りに最適
  • 選び方:青々として硬く、香りが良いもの

古城(こじろ)

  • 特徴:群馬県の代表品種で、大粒で酸味が強い
  • 用途:梅干し、梅酒両方に適している
  • 選び方:大きくて重みがあり、色が均一なもの

豊後梅(ぶんごうめ)

  • 特徴:大分県原産で、杏との交配種。果肉が厚く甘みがある
  • 用途:梅酒や梅ジャム作りに向いている
  • 選び方:やや大きめで、薄く黄色みがかったもの

鶯宿梅(おうしゅくばい)

  • 特徴:徳島県の品種で、小粒ながら香りが非常に良い
  • 用途:梅酒や香りを活かした加工品に最適
  • 選び方:小粒でも重みがあり、香り高いもの

梅の保存方法

梅は追熟する果物なので、用途に合わせた適切な保存が重要です。

青梅の保存

梅干し用の青梅は、新聞紙に包んで冷蔵庫の野菜室で保存します。2〜3日以内に使用しましょう。常温で置いておくと黄色く熟してしまうため、購入後は速やかに冷蔵保存してください。

追熟させる場合

梅酒用に追熟させたい場合は、常温の風通しの良い場所に1〜2日置きます。薄黄色になり、香りが立ってきたら使い頃です。熟しすぎると果肉が柔らかくなりすぎるので注意が必要です。

冷凍保存

下処理済みの梅は冷凍保存袋に入れて冷凍できます。約6ヶ月保存可能で、梅酒や梅シロップ作りに便利です。冷凍することで細胞が壊れ、エキスが出やすくなるメリットもあります。

塩漬け保存

購入量が多い場合は、塩をまぶして一時的に塩漬けにしておくことで、数日間保存できます。後で梅干し作りに使用できます。

梅の栄養と健康効果

梅は「医者いらず」と言われるほど、豊富な栄養素と健康効果を持っています。

クエン酸

梅の酸味の主成分で、疲労物質である乳酸の分解を促進し、疲労回復効果があります。また、カルシウムの吸収を助け、骨の健康維持にも効果的です。エネルギー代謝を活発にし、夏バテ予防にも役立ちます。

リンゴ酸

クエン酸と同様に、疲労回復や新陳代謝の促進に効果があります。また、腎機能をサポートし、体内の老廃物排出を助けます。

カテキン類

強い抗酸化作用があり、活性酸素の除去に効果的です。老化防止や生活習慣病の予防に役立ちます。また、抗菌作用もあり、食中毒の予防効果も期待できます。

ペクチン

水溶性食物繊維の一種で、腸内環境を整え、便秘解消に効果があります。また、コレステロール値の低下や血糖値の安定化にも寄与します。

カリウム

余分なナトリウムを排出し、高血圧予防やむくみ解消に効果があります。心臓の機能をサポートし、筋肉の正常な働きを助けます。

ビタミンE

抗酸化作用があり、細胞の老化を防ぎます。血行を良くし、美肌効果も期待できます。

ムメフラール

梅を加熱することで生成される成分で、血流改善効果があります。動脈硬化の予防や、血栓の形成を抑制する働きがあるとされています。

梅の歴史

梅の歴史は非常に古く、日本の文化と深く結びついています。

原産地と伝来
梅の原産地は中国で、奈良時代以前に日本に伝来したとされています。当初は薬用植物として導入され、その後観賞用、食用として広まりました。「万葉集」にも梅を詠んだ歌が多数収録されており、古くから日本人に愛されてきました。
平安時代の発展
平安時代には貴族の間で梅の花を愛でる文化が発達し、「梅」は春の象徴として和歌や文学に頻繁に登場するようになりました。この頃から梅干し作りも始まったとされています。
武士の時代
鎌倉時代から戦国時代にかけて、梅干しは武士の携行食として重宝されました。保存性が高く、疲労回復効果があることから、戦場での貴重な栄養源となりました。x
江戸時代の普及
江戸時代には庶民の間にも梅干し作りが広まり、各地で独自の品種改良が進みました。また、梅酒や梅料理も発達し、梅は日本の食文化に欠かせない存在となりました。
現代の栽培
現在では和歌山県を中心に全国で栽培されており、品種改良も進んでいます。健康志向の高まりとともに、梅の機能性成分にも注目が集まっています。

梅を使ったおすすめレシピ

1. 基本の梅干し

梅干し

材料(1kgの梅に対して)

  • 青梅:1kg
  • 粗塩:180g(18%の塩分)
  • 赤じそ:100g(お好みで)
  • 塩(赤じそ用):大さじ2

作り方

  1. 青梅を水でよく洗い、竹串でへたを取り除きます。
  2. 清潔な容器に梅と塩を交互に入れ、最後に塩をかけます。
  3. 重石をして、冷暗所で梅酢が上がるまで待ちます(1〜2週間)。
  4. 赤じそは塩でもんでアクを出し、梅酢で戻して加えます。
  5. 天気の良い日に3日間天日干しして完成です。

昔ながらの製法で作る、保存性の高い梅干しです。

2. 梅酒

梅酒

材料

  • 青梅:1kg
  • 氷砂糖:500g〜800g(お好みで調整)
  • ホワイトリカー:1.8L
  • 保存瓶:4L容量

作り方

  1. 青梅を水で洗い、へたを竹串で取り除きます。
  2. 梅の水気をよく拭き取ります。
  3. 消毒した保存瓶に梅、氷砂糖、ホワイトリカーを入れます。
  4. 直射日光を避けた涼しい場所で保存します。
  5. 3ヶ月程度で飲めますが、1年以上寝かせると更に美味しくなります。

自家製梅酒は格別の味わいです。お好みで砂糖の量を調整してください。

3. 梅シロップ

梅シロップ

材料

  • 青梅または黄梅:1kg
  • 氷砂糖:1kg
  • 保存瓶:2L容量

作り方

  1. 梅を水で洗い、へたを取り除いて水気を拭き取ります。
  2. 竹串で梅に数カ所穴を開けます(エキスが出やすくなります)。
  3. 消毒した保存瓶に梅と氷砂糖を交互に入れます。
  4. 冷暗所で保存し、毎日瓶を振って混ぜます。
  5. 2〜3週間で梅のエキスが十分出たら完成です。

水や炭酸で割って飲む、ノンアルコールの爽やかなドリンクです。

番外編:梅の下処理のコツ

へたの取り方

竹串を使って、梅のへた部分を優しく取り除きます。金属製のものは梅を傷つける可能性があるので避けましょう。

水気の取り方

洗った梅は、清潔な布巾やペーパータオルで一つずつ丁寧に水気を拭き取ります。水気が残っていると雑菌の原因となります。

冷凍処理

梅酒や梅シロップを作る際は、下処理した梅を一度冷凍すると、細胞が壊れてエキスが出やすくなります。

塩の選び方

梅干し作りには、ミネラル豊富な天然塩がおすすめです。精製塩は避け、粗塩や海塩を使用しましょう。

伊藤商店で梅を手に入れて、初夏の恵みを味わおう!

梅は初夏の短い期間だけ楽しめる、日本の伝統的な果物です。その爽やかな酸味と豊富な栄養で、暑い夏を健康的に乗り切る手助けをしてくれます。梅干し作りや梅酒作りなど、手作りの楽しさも味わえる特別な果物です。

短い旬の期間だからこそ、梅の恵みで初夏の食卓を豊かにしましょう。伝統的な保存食作りを通じて、皆様の食生活がより健康的で楽しいものになることを願っています。

最後までお読みいただきありがとうございました。また次回の旬の果物レポートもお楽しみに!

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